「寒く、ないのか?」
[ a little dragon couldn't fly. ]
「・・・・・・・・・・はああ?」 あまりに思いがけない台詞にしばらく言葉がでなかった。 『寒く、ないのか?』 そう言って自分の二の腕を掴んだのはさっきまで資材置き場で思い続けた顔。 「・・・・に言ってやがる。」 訝しげな彼を包んだのはかの人の首にあったはずのマフラー。 「・・・・・・・・・・・・・・・。」 ぐうの音も出ずに彼はかの人から顔を反らずだけの行為でせめてもの抵抗を表明した。 (逃げてえ・・・・・。) 生きてきて初めて本気でそう思ってる。 「本当に毎日毎日いつみてもコートも着ずに、風邪を引かないのかお前は。」 (マイニチマイニチイツミテモ) (おまえこそだいじょうぶかよ) 声にはならない言葉。 「・・・・・・・っ。」 腕をふりほどく。とにかくここでは人の目が気になりすぎる。 「それ返さなくてもいいからな!使ってくれ!!」 顔から火がでそうな台詞を背中で聞きながら、いつもよりも早足になっているのを彼自身は気付けなかった。 |
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